初釜

clip_image002全久院では毎年第二日曜日に一年の稽古始として初釜を行います。父の代より始まった全久院茶道ですが、父が育てた弟子や懇意にしていた茶道の仲間が50人ほど集まります。まず皆さんに濃茶と薄茶を差し上げます。この写真は濃茶を点てているところです。正月気分を最高に演出できるように、金と銀で茶碗の内側を色付けした大小二つの茶碗を重ねて持ち出します。晴れやかですが、少々複雑な重ね茶碗の点前をしてお客様に差し上げます。水屋には当番をお願いした社中の方が控えて、菓子を出したり、点て出しでお茶を出したり気配りをしてもらえるので、一服の茶を皆でゆったりと味わうことができます。茶道も一人では何にもできません。皆の気配りの集大成が一席のお茶となります。

 茶の後は茶懐石をいただきながらいっぱいお酒を頂戴します。ほとんどが女性ですので私はお銚子を持って回っても返杯されるだけです。全員から返杯を受けるころには呂律もそろそろおかしくなります。そのころ茶碗や茶道具が当たるくじを引いてもらい、にぎやかに閉幕。楽しみな茶会ですが、どんな道具を使うか、どんな趣向にするかなど準備が大変で、また道具を拭き、乾かしてしまうことも辛い仕事です。表面の優雅さの裏には目に見えない辛さの積み重ねがあります。それを解消するために、お酒が飲める何人かに残ってもらって、もう一杯。全員からの返杯に「酔うな!」と脳みそに指令を出し続けた緊張をほぐします。

 今年皆さんにお配りした記念の扇子に、白い侘び助(椿)の絵を描き「清浄無垢」と書きました。父が亡くなり一人でお寺を切り盛りするために、もう一度原点に戻って、清浄無垢な心で何をどうすべきか見直してゆこうという気持ちを表しました。

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