茶道(お茶を美味しくする方法)

clip_image002 全久院は表千家の長野県支部事務局になっています。毎年県内の先生を対象に、京都から家元講師をお招きして、講習会を開催しています。その講習で、「美味しいお茶を点てるたための美味しいお湯」という大変面白いお話がありましたので紹介します。

茶道ではお湯を沸かす道具は釜です。釜をお持ちの方は底を覗いて見てください。右の図は釜を輪切りにしたものです。釜の底には鋲がついています。点線のとおり、釜の底と鋲のところで湯が煮立って対流が起きます。底は炭の火で暖められるのでかなりの熱さになりますが、100℃以上で煮立ってしまうお湯は、この対流のおかげでほんのわずか鋲の隙間から上に漏れてゆくだけです。ですから沸騰してしまうお湯は底と鋲の間に閉じ込められます。釜全体のお湯はAのように対流します。沸騰はしません。沸騰すると水の中の酸素が外に出てしまい、お湯の美味しさが損なわれます。この沸騰しないお湯を使うことでお茶が美味しくなるわけです。

こんのような知恵を使って茶道の釜は作られています。この話を聞いて日本の技のすごさを知り、何かうれしくなりました。

平成17年6月号より