韋駄天様

clip_image002全久院の玄関を入り、畳の間に一歩は行っていただくと、目の前のかもいに棚が作られておりそこに安置されているのが韋駄天様です。韋駄天はサンスクリット語で「スカンダ」、私建陀(しけんだ)・塞建陀(そくけんだ)と音写されています。インドでは聖人の遺骨を供養すると福徳が得られると信じられており、お釈迦様の遺骨(佛舎利)についても多くの弟子が欲しがりました。佛舎利を均等に分配したところ、足疾鬼(そくしっき)という足の速い鬼神が佛舎利を奪い取り、足に任せて逃げ去った。その後を韋駄天が追いかけ一瞬のうちに須弥山(しゅみせん・仏の世界で一番高く、聖なる山といわれ、インドのヒマラヤ山脈を宗教的にあらわしたとされています)の頂上の三十三天まで駆け上がったとされています。須弥山の高さは5億12百万キロといわれていますからスペースシャトルも敵いません。足疾鬼に追いついた韋駄天は無事に佛舎利を奪い返したのです。この説話から足の速いことを「韋駄天走り」と言うようになったとのことです。因みにこの頂上が「有頂天」。アジアのものの考え方を通して、いろんなものが見えてきませんか?

韋駄天はヒンズーの神シヴァ神の妻パールヴァティーとの子どものガネーシャと同体とされています。ガネーシャは象面人身で、諸の障害を除き、夫婦和合や子宝を授かる神として信仰されています。寺院の伽藍を守る守護神となり、四天王の内の増長天の八大将軍の一人とされています。形は甲冑をつけて、合掌した腕の中に宝剣を携えています。禅宗の寺では庫裏に、特に食堂の守り神として安置されています。