茶道コーナー

clip_image002clip_image004 昨年は父の三回忌を執り行いました。茶道も父を偲んで追悼茶事を行いました。茶事というのは茶道にとって最高のもてなしとなる形式です。まず、茶庭から路地を通って茶室に入ってもらい、亭主が丹精した庭と、客をお迎えする思いを表す掛け軸を味わってもらいます。次に炉に炭を入れ、お湯を沸かし部屋を暖め、懐石料理を出します。料理を味わってもらいながらお客様が堪能するまでお酒を出します。最後にお菓子を出し、茶庭の腰掛に戻ってもらう間に茶席を改めます。ここまでが前半。再びお客様に席に入っていただき、お濃茶と薄茶を味わってもらいます。約4時間のお客様とのやり取りが茶事ということになります。

この流れの中に様々な作法による客とのやり取りがあります。茶道というと堅苦しい作法でお茶を点てて飲む、というように考えられていますが、すべての稽古はこの茶事を行うために必要な点前や作法などを身につけるための稽古なのです。

clip_image007 今回の追悼茶事では父と関係の深い道具を取り揃えお弟子さんたちをお迎えしました。父は総代であり陶芸家の篠田義一氏、表千家十三代家元即中斎宗匠、堀内家八代兼中斎宗匠のご指導・お力添えをいただき、茶の道を進ませていただきました。そこでこの皆様の茶道具と、父自ら書いた般若心経の掛け軸や手作りの茶道具を揃え茶席としました。この道具を取り揃えることにも茶道に関する多くの知識が必要とされます。私も必死で勉強しながら道具を取り揃えていますが、父一代でよくもここまで道具をそろえたものと驚かされます。茶道は季節の推移にしたがって点前が変わります。それに従い道具も変えなくてはなりません。1年間で10回ほど道具を入れ替えます。その道具がすべて揃っています。私が狭隘な知識で茶席を作れるのも、それを見越して道具を揃えていてくれた父のお陰と、今更ながら父の偉大さに驚かされています。しかし仏教も茶道も私にとってはいつまでも続く勉強という道にしか見えません。諦めず一歩づつ進むことにします。