前住職の密葬に際して

前住職の密葬に際してご理解賜りありがとうございました

平成19年、東堂、全久八世大興俊勝大和尚が11月28日に遷化し、12月3日に全久院と倉科家による密葬を執り行いました。全久院は大本山総持寺の直末寺のため、葬儀に際しては導師を本山にお願いする都合上、本葬を執り行うには段取りに時間がかかるため、ごく内々の密葬という形式にさせていただき、新聞記事に掲載させていただいたとおり檀家の皆様には外での焼香のみとさせていただきました。にもかかわらず200人以上の皆様にご焼香をいただき、心から感謝申し上げます。

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東堂は平成19年初頭より体調を崩し、7月頃から流動食ものどを通りにくくなり、点滴が始りました。10月には床擦れができ、相沢病院に入院、床擦れの膿を出す手術を受けましたが、点滴のみのため次第に衰弱し、3回の危篤を乗り越えましたが、11月28日3時35分遷化いたしました。痛みを訴えることもなく、本当に静かな瞬間でした。

寺に戻った体を家族皆で拭き、着物に着替えました。数ヶ月の点滴のみの体は痩せ細ってはいましたが、蝋のように透き通っていました。目は落ちくぼみ、あばら骨の出た体はガンダーラの苦行する釈尊のような、人生という荒波を乗り切り、安らぎの地にたどり着いた、厳しくそして温かい顔になっていました。泣きながらおじいちゃんの体を拭き続けた子供たちが「お父さんは泣かないの?」と聞きました。「お父さんは子供のころからおじいちゃんと一緒だった。キャッチボール、スキー、いつも遊んでくれた。坊さんになってお経や声明を叩き込まれ、法事はいつも二人。お父さんが息すること、動くこと、運動をすること、お経を読むこと、坊さんであること、全ておじいちゃんがお父さんに叩き込んだ通りに体が動いているだけ。おじいちゃんがいなくなってもお父さんの全てがおじいちゃんだから、おじいちゃんはお父さんからいなくならない。だから悲しいとは思えないでいるんだ」と答えました。

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密葬は教区のご寺院様、特に全久院に関係の深いご寺院様(法類といいます)約30人に読経、瑞松寺様に密葬師をお勤めいただき、総代様、全久院茶道部(即心会)役員、親戚、合せて約70人にお参りしていただきました。お参りいただいた皆様の心の中にも、熱燗のお酒を含め様々な「俊勝」の思い出が生き続けているとのお話をしていただきました。

松本中学時代に始めた柔道。松本50連隊での連隊旗手補佐。戦争後松本警察署での柔道指南。表千家長野県支部の創設。昭和39年住職就任以来の活躍。なんといっても檀家さんとの密な付き合い。常に「死ぬ気でやる」を口にしながら、全力投球をしてきました。曹洞宗宗門、地域の仏教会でも会長などを歴任し、大きな役割を果たしました。

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その功績に報い、皆様にもお参りいただけるよう、本葬は後日執り行います。本山より導師をお迎えする都合上、6月に執り行う予定で本山と打合せを行っています。皆様に後日ご通知いたしますので、ご焼香賜りますようお願いいたします。